原野にとぶ橇・佐藤忠良 絵

原野にとぶ橇(そり)佐藤忠良 絵
原野にとぶ橇(そり)佐藤忠良 絵
原野にとぶ橇(そり)佐藤忠良 絵
原野にとぶ橇(そり)佐藤忠良 絵
原野にとぶ橇の挿絵 佐藤忠良 画
原野にとぶ橇の挿絵 佐藤忠良 画

原野にとぶ橇

この「原野にとぶ橇(そり)」は偕成社より1978年11月に初版第一刷が発行された。
著者は加藤多一で本の装幀及び挿絵は佐藤忠良が描いている。
この本のカバー裏表紙には次のように書かれている。

偕成社の創作文学16

 小学上級以上向
未開の原野に立ちむかったとき、山根正造(やまねしょうぞう)には愛馬のトドマツ号しかいなかった。明治、大正、昭和と多難な65年を農業ひとすじに生きぬいて正造は老いたが、馬も6代目にかわっていた。辺境の北海道に生きた作者の先祖の苦闘物語。

頁を開くと「●はじめに」がある。

 ●はじめに
私は馬がすきだ。ながい顔もいいし、ちょっとさびしそうな目の色もいい。
とくに北海道の風土の豊かさ、きびしさには、馬のたくましさがよく似あう。
草原をかけぬける馬。そりをひいて雪原をとぶ馬。かなしみにたえている馬
――こういう馬のいる風景のむこうから、人間の家族、馬の家族それぞれのやさしい会話がきこえてくる。

次に著者と画家が紹介されている。

 著者・加藤多一
1934年、北海道に生まれる。北海道大学教育学部卒。日本児童文学者協会・日本童話会・北海道児童文学の会会員。評論集に『北海道の児童文学』、主な作品に『白いエプロン白いヤギ』『ふぶきだ走れ』『ミス牧場は四年生』など。住所/札幌市(以下省略)

 画家・佐藤忠良
1912年、宮後県に生まれ、北海道で育った。東京美術学校彫刻科卒。日本人の顔の連作で高村光太郎賞を受賞。新制作協会会員。絵本に『ゆきむすめ』『おおきなかぶ』、さし絵に『小さな雪の町の物語』『白いとんねる』などがある。住所/東京都(以下省略)

佐藤忠良は偕成社の本の装幀をよく描いている。
この本もそうだが、見事な装幀画である。
まるで一幅の絵画のようである。
又、挿絵も見応えがある。一切手を抜いていない。
すばらしい挿絵がこの本をより読み応えあるものにしている。


この物語の難を言えば、あまりにも沢山の事が詰め込んであるので「この人は誰だったか?」と思うことがある。
又、後足を折った馬が両眼の間を撃たれ、その解体された馬の肉を近所の人々に分け与えるのは、開拓当時としては通常行われていたことなのだろうが、小学上級の少年少女にはちょっと残酷に思えるかも知れない。