西條八十と飯坂温泉 ①

飯坂小唄 絵葉書1-2
飯坂小唄 絵葉書1-2
飯坂小唄 絵葉書3-4
飯坂小唄 絵葉書3-4
飯坂小唄 絵葉書5-6
飯坂小唄 絵葉書5-6
飯坂小唄 絵葉書7-8
飯坂小唄 絵葉書7-8

西條八十と飯坂温泉 ①

 

西條八十は昭和6年(1931)、福島の飯坂温泉関係者に依頼され「飯坂小唄」を作った。
作曲は中山晋平で、踊りの振付は藤蔭静樹である。
西條八十等は新たに作る地方の民謡を「新民謡」と称し、様々な土地の「新民謡」を作っている。
ただ地方の民謡(小唄)であるだけに、その土地独特な言葉が織り込まれているので、その土地を良く知らない人には、その独特な言葉を調べないと判らない歌詞が多い。
下に「飯坂小唄」の20番までの歌詞を掲載する。

 

「飯坂小唄」


 作詞:西條八十
 作曲:中山晋平
 振付:藤蔭静樹

(一)
ハアー
恋の陸奥(みちのく) ナー
(サテ サテ サテ)
恋の陸奥(みちのく) 人目を信夫(しのぶ)
(アリャ ヤット サノサ)
首尾も飯坂 湯のけむり(サテ)
寄らんしょ 来らんしょ 廻らんしょ
 ササカ サカ サカ 飯坂へ

(二)
泣くは河鹿か ナー
(サテ サテ サテ)
泣くは河鹿か あの妓の声か
(アリャ ヤット サノサ)
こよい別れの 十綱橋(とつなばし)(サテ)
寄らんしょ 来らんしょ 廻らんしょ
 ササカ サカ サカ 飯坂へ

(三)
泣いて送れば
泣いて送れば 河原の螢
可愛いお方の 途(みち)照らす

(四)
おまえどこ行く
おまえどこ行く ちゃんこちゃんこ下りて
わたしゃ河原へ 鮎釣りに

(五)
行こか松島
行こか松島 帰ろか東京
ここは飯坂 お湯のなか

(六)
伊達と信夫の
伊達と信夫の 仲ふりわける
わたしゃ摺上(すりかみ) 湯のながれ

(七)
昼は湯浴びに
昼は湯浴びに ちゃんこちゃんこ下りて
夜はおまへに 上りつめ

(八)
川は摺上
川は摺上 堤の桜
散って五月の 鮎となる

(九)
山にゃお月さん
山にゃお月さん 流れにゃ河鹿
可愛いお方は お湯のなか

(十)
投げて届くは
投げて届くは 河原の小石
なぜに届かぬ この想い

(十一)
かたい石でも
かたい石でも 文知摺石(もぢずりいし)は
恋の情けの わかる石

(十二)
あの娘いとしや
あの娘いとしや 桜桃(おうとう)の花か
暮れる河原に 白じらと

(十三)
初手に逢ふたは
初手に逢ふたは 桜桃の花に
月の出るころ かすむころ

(十四)
忘れしゃんすな
忘れしゃんすな 大鳥山で
二人眺めた 吾妻富士

(十五)
秋の眺めは
秋の眺めは 天王寺山よ
お湯の中にも 散る紅葉

(十六)
紅葉散っても
紅葉散っても 又来ておくれ
冬は雪見の 炬燵酒

(十七)
わしの思いで
わしの思いで 垂氷(たるひ)も解ける
雪の下にも お湯が湧く

(十八)
昼は松島
昼は松島 波風まくら
夜は飯坂 膝まくら

(十九)
はやく行きたや
はやく行きたや 春蚕(はるご)を終えて
ほども飯坂 お湯浴びに

(二十)
おらが奥州で
おらが奥州で 見せたいものは
お湯の飯坂 光堂(ひかりどう)