赤ひげとぶどう酒商人:外・佐藤忠良 画
「赤ひげとぶどう酒商人-ほか」世界の民話6ドイツ編
著者:小川一枝
絵:佐藤忠良(表紙絵・扉・口絵・さし絵)
1978年9月3日 社団法人 家の光協会 発行
この本の最初に「みなさんへ」として『民話は、昔の人たちが、みんなでつくったお話です。そこには昔の人たちのすばらしい生活の知恵や夢が、ふんだんに描かれています。これらのお話を読むと、日本であろうと外国であろうと、国によって風土や習慣がちがっていても、人間の気持ちというのは、どこの国でも同じだと気がつくでしょう。この本は、ドイツの民話を集めたものです。深い森の中でかつやくする魔女や小人、愉快なぼうけん者などの出てくるドイツ民話は、きっとしばらくの間、みなさんの心のふしぎな夢と空想の世界にさそってくれるでしょう。』とある。
もくじ
兄と妹 ─────────────6
ハンスとかえるのお嫁さん─────24
親指小僧のぼうけん ───────32
死に神とその名づけ子 ──────46
六人の男の世界旅行───────56
百ぴきの羊 ───────────72
三人の外科医──────────80
魔法使いと弟子 ─────────90
王女とバイオリンひき───────100
伯爵夫人と森の小人───────110
魔法のたま───────────122
かじ屋と悪摩 ──────────132
騎士と水の精──────────146
赤ひげとぶどう酒商人 ──────160
ハメルンの笛ふき ────────172
〈解説〉先生、お父さん、お母さんへ
ゲルマン民族共通の文化遺産───194
この〈解説〉にはゲルマン民族の話とグリム童話などの話と共に、(1)から(15)までそれぞれの物語について短い解説がある。
ここでは(14)「赤ひげとぶどう酒商人」解説を記す。
(14)「赤ひげとぶどう酒商人」
ドイツ最大の国民的英雄といわれる、神聖ローマ帝国の皇帝フリードリヒ一世(1250年没)にまつわる伝説です。
またの名をバルバロッサ(イタリア語で赤ひげという意味)といわれるこの皇帝は、第三回十字軍を指揮して、陣中に悲劇的な最後をとげました。
ドイツでは皇帝伝説といって、フリードリヒ一世以外にも、国民の間に人気の高い名帝、名君にはみなこの種の不死伝説がまつわっていて、国家危急存亡の際には大勢の部下とともによみがえり、目ざましい働きをするといわれています。