りんご畑の四日間・佐藤忠良 挿絵
りんご畑の四日間
著者 国分一太郎
装丁 辻村益朗
さし絵 佐藤忠良
1976年12月 1刷 株式会社 偕成社 発行
この本の帯には「子どもたちの行動をいきいきと描いた傑作 リンゴ園の袋かけのアルバイトで、5人の少年は枚数をごまかした犯人にされてしまった。疑いをはらそうと団結して理不尽なおとなたちにたちむかう。」とある。
もくじ
第一章 その第一日・・・・・・・7
第二章 その第二日・・・・・・・60
第三章 その第三日・・・・・・・119
第四章 その第四日・・・・・・・188
解説 亀村五郎・・・・・・・・244
リンゴ農家にはリンゴの小さな青い実に紙袋をかける仕事がある。
一日で二千枚くらいリンゴに袋をかける。
そのリンゴに袋をかける仕事をごまかしたとして、リンゴ畑で働いていた六人の少年達が疑われてしまった。
「袋かけの少年班は、中学二年の武と勇、中学一年の政雄、五年生の敏夫、それに金一郎と健二の六人だった。」(本分18頁より)
その疑いをはらすために、少年達が相談しながら解決してゆく物語である。
亀村五郎はこの本の最後の「解説」に次のように書いている。
「みなさんは、『りんご畑の四日間』を読んで、どんな感想をもちましたか。
わたしは『りんご畑の四日間』を、もう五回も読みました。
でも、五回も読んでも、この物語はあきません。
それどころか、そのたびに、いいなあと思ってしまうのです。(中略)
・・・・・・・この子どもたちひとりびとりが、もう、だれにも負けずに正しい意見を述べ、自分たちの生きかたに自信をもっていることです。
わたしは、ここで、五人のみんなに心から拍手を送るとともに、自分自身をふりかえらせられるからです。
この物語の作者は、『まちがったことには心から腹をたてなくてはならない』と、いつもいつもいっている人です。
わたしはおとなであるのに、この『りんご畑の四日間』を読むと、心がドキドキします。
それは、自分が、〈まちがったことに心から腹をたてているか〉という反省をさせられるからなのでしょう。」
【 国分一太郎 (こくぶんいちたろう) 】
1911年山形県に生まれる。教師生活を経て、文筆生活に入る。1952年〈日本作文の会〉の創立に参加、以後児童の散文・詩の指導に当たる。新日本文学会・「子どもと詩」文学会会員。著書は「国分一太郎児童文学集」(全6巻)の他「青くびダイコンの詩」「しなやかさというたからもの」などがある。