はなやひつじとはなしたこども・佐藤忠良 画
「はなやひつじとはなしたこども」
え / 佐藤忠良
作 / 婦人之友絵本制作部
よくみる・よくきく・よくする えほん
1970年11月初版 制作発行 / 婦人之友社
この絵本の題は「おかのむら」「おとうさんは だいく」「おかあさんの て」「のはらのはな」「こどもとひつじ」「さかなとぱん」「おおあめ」「たねまき」「かめのみず」「もうひとつの て」「たびのはなし」「ゆうごはん」「ほしのよるに」「おおぞらのうた」となっている。
最後に「くりすます ぷれぜんと」とあり
『この おはなしの こどもの すんで いたのは なざれ という むらです。 からだも ちえも ずんずん そだった この こどもは おとなに なってから いえす・きりす と よばれました。 “せかいじゅうは かみさまの こども、みんな きょうだい” と いうことを おしえた かたです。 その おたんじょうびは 2000ねんまえの 12がつ25にち。 しっているでしょう? それが さいしょの くりすます です。 そして いえすは かみさまから わたしたちへの ぷれぜんと なのです。』
と書かれている。
この絵本は「イエス・キリスト」の物語である。
この絵本のリーフレットには次のようにある。
“こどものむら 舞台と背景”
「おかのむら」
むら / ナザレ 現在のイスラエル共和国の北部。
はら / 聖地でもっとも肥沃なエズレエル平野。
やま / 南にサマリアの連山、東にギレアデの山々、北にヘルモン連峯がある。
うみ / 地中海。
「おとうさんは だいく」
おとうさん / ヨセフ。石材建築の多いところで、指物師ではなかったかといわれる。
「おかあさんの て」
おかあさん / マリア。
うた / 箴言31章の母性讃歌はいまもユダヤの家庭の歌。
「のはらのはな」
はる / 3月~5月、4月になると山野は花のじゅうたんに被われる。
「こどもとひつじ」
ひつじ / イエスには、99匹を野におき1匹の羊をさがす例話がある。羊の群は遊牧民とともに緑を追って移動する。
「さかなとぱん」
みずうみ / ナザレから15キロに、ガリラヤ湖、あるいはゲネサレ湖とよばれる湖水がある。魚は湖畔の人々に大切な食品であった。
「おおあめ」
あめ / 12月~2月の雨季には瞬間に谷間の増水を起こすほどに雨の降ることがある。
「たねまき」
いしのうえ / 土層のうすい石地が多く、イエスの種まきのたとえは実感である。
とりいれ / 秋に播いた小麦大麦は、4月~5月に刈入れられる。
「かめのみず」
なつ / 6月~9月は乾季、熱風が吹く。
ろば / 運搬用の家畜、坂の多い所に適している。
いずみ / ナザレにはいまも“マリアの泉”とよばれる泉がある。
さばく / 今日、四国ほどのその面積の南半分がヘゲヴとよばれる砂漠。
みずをあげる / 乾いたこの土地では“水”はなによりの旅人への供応、イエスは“1杯の水を飲ませてくれるものは・・・・・・”と教えられた。(マタイ伝10章42節)
「もうひとつの て」
ぶつ / あなたの頬を打つ者には、ほかの頬をもむけ・・・・・・。(ルカ伝6章29節)
「たびのおはなし」
がっこう / ユダヤのこどもたちは会堂で歌、祈り、律法、文字を習った。
まち / イエスもこどもの頃、巡礼としてエルサレムに上ったが、ナザレから数キロのところには、ギリシャ語の語られるセフォリス、ギリシャ風の神殿劇場のあるデカポリスも遠くはない。ナザレの東方10キロにはエジプトへゆく幹道もあった。
「ゆうごはん」
おやすみ / 金曜の日没から土曜の日没にかけて、安息日が守られる。今日でもイスラエルでは交通機関さえ休みとなる。
「ほしのよるに」
おおきなまち / ダビデの町ベツレヘム。
ほらあな / 当時は穴居住居もあり、家畜小屋に兼用するところも多かったといわれる。
てんのつかいの こーらす/ルカ伝2章13~14節。