




笹戸千津子・微風1996・旭川市永隆橋
「微風」1996 笹戸千津子
旭川市には川が多い。
当然、その川に架かる橋も多い。
この永隆橋は平成8年(1996)に架け替えられた。
その時、橋の中央付近の左右に笹戸千津子作の「微風」と「女」の彫像が設置された。
「微風」は立像で、「女」は坐像である。
笹戸千津子は立像と坐像とを対比して作成している。
この「微風」は女性が髪を束ねて上に上げている。
今は微風だが、時風を得て飛翔しようとしているのかも知れない。
足を少し開き、髪を持つ手を上げている姿は、より大きく見える。
「笹戸千津子」 佐藤忠良
(河北新報創刊95周年記念 1992 「笹戸千津子展」図録より)
笹戸千津子が東京造形大学を出た頃、粘土練りの手伝いや、顔のモデルになってもらったのがきっかけで、永福町のアトリエ通いはいつの間にか20年が経ってしまった。
その間、私の作品の後半に出てくる帽子の作品をはじめ、数々の彫刻は彼女を対象にして生れたが、笹戸の彫刻生活もこのアトリエで続けられるようになって今日に至っている。学生時代に一日も休まぬ勉強振りもさることながら、日曜祭日なしのアトリエ通いは、早朝の掃除ともども欠かしたことのない毎日である。
美術界では今や死語になっている「徒弟」風に見えるかもしれないが、こちらにいいところがあれば構わず盗みとってもらいたいと、思っているのに、子供はよく親の仕種(しぐさ)の癖を見事にみせてくれるのに似て、ハッとさせられることもある。
(次回「笹戸千津子・女1996・旭川市永隆橋」に続く)