佐藤忠良・カンカン帽
中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館は現在改修工事中のため、JR旭川駅東口にその分館として気軽に彫刻を鑑賞できるように「ステーションギャラリー」が開設されている。
その「ステーションギャラリー」に佐藤忠良の作品「カンカン帽1975ブロンズ」が展示されていた。
この佐藤忠良の作品「カンカン帽」は1975年(昭和50 年)第6回中原悌二郎賞を受けている。
作品はブロンズで60㎝×51.5㎝×40㎝の大きさで、モデルは笹戸千津子である。
この「カンカン帽」を色々な角度から撮影(フラッシュ禁止)させてもらったが、それぞれに違った表情を見せてくれる。
まさに佐藤忠良の名作の一つであろう。
佐藤忠良は有名な「帽子・夏」1972の外、笹戸千津子をモデルにし帽子を被った女性の像をいくつか造っている。
この「カンカン帽」もその「帽子シリーズ」の中の一つである。
尚、プレートには「カンカン帽 Straw Hat ブロンズ 1975 佐藤忠良(1912~2011)SATO.Churyo 」と書いてある。
佐藤忠良は、この「カンカン帽」について「遠近法の精神史」の中で次のように語っている。
「これも帽子のシリーズで、『カンカン帽』。昔、大正時代の男はみんなこれをかぶっていたものです。これを少し弛めに注文してつくらせ、いまは彫刻家になっている教え子にかぶってもらいました。 (註:この教え子は笹戸千津子嬢。)
これも肩の落としかたでいちばん苦労しました。こんなに落ちた肩というのはありません。ふつうに写生したらぎくしゃくして、なんのためにつくったか、見る人はわからなくなるはずです。やりようによっては変に気障っぽくなりそうなのですが、思い切って肩を落としてみたのがこれです。」
(「遠近法の精神史-人間の眼は空間をどうとらえてきたか-」29~30頁より)
JR旭川駅の中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館「ステーションギャラリー」に2016.08.19より09.11まで常設展示されていた作品は次の通り。
01.舟越 桂「点の中の距離2003」
02.舟越 桂「そこだけの冬1997」
03.佐藤忠良「カンカン帽1975」
04.江口 週「漂流と原型'77-M-2 1977」
05.保井智貴「untitled 20004」
06.深井 隆「逃れゆく思念1989」
07.戸張孤雁「虚無1920」
08.荻原守衛「坑夫1970」
09.中原悌二郎「平櫛田中像1919」
10.中原悌二郎「女の顔1910」
11.中原悌二郎「石井鶴三像1916」
12.中原悌二郎「乞食老人像1918」
13.砂澤ビッキ「樹蝶・樹鮭1977」
14.砂澤ビッキ「カムイミンタラ1977」
15.中原悌二郎「若きカフカス人1919」
尚、JR旭川駅東口の「ステーションギャラリー」では時々展示作品を替えている。
現在は企画展「カルタで知ろう 旭川の野外彫刻」が開催されている。
しかし、この佐藤忠良「カンカン帽」1975など数点の彫刻は展示してある。
フラッシュは禁止だが、撮影は許可してくれる。